心理ハック
人は先送りし続けていたことがうまく処理されることに、ときどき抵抗を示す
いつもこんなことをするわけではないのですが、時にはこうした傾向を示すこともあるという話です。
私はこの現象を見るにつけ、少し不思議に思っていたのですが、最近一冊の本を読んで、何となく理由がわかるような気がしました。
脳は極端な節約家

自分の本でも、「やる気は有限だから、脳はちょっとでも気力の節約に励む」という話を書いてきましたが、それにしても、「長いこと解決できなかったことが、あっさり解決される場合でも、それに抵抗する」という心理はよくわかりませんでした。
自尊心の問題も絡むのかもしれません。
しかし、どうやら自尊心の問題より、「この問題は解決されない」という現実に、脳がすっかり慣れてしまうようなのです。したがって、「解決方法」が何か、ひどく非現実的なもののように感じられるようなのです。
最近それを、私の妻が示しました。妻は長いこと、どういうわけか、登山用のザイルを大学時代の友人に借りていたのですが、それを返す手続きを数年も先のばしにしてきたらしいのです。
私は宅配業者に電話してそれを返す手続きをしたのですが、それに消極的ながら、妻がいちいち抵抗を示したので、とても不思議でした。少なくとも私には、いちいち消極的な抵抗をしてくるように思えたのです。
ザイルだから何かに包まなければならない。宅配業者がいつ来てくれるかわからない。断られるかもしれない。などの理由を述べ立てるのです。私はひどく当惑しました。簡単に返せることを知っていたからです。
保守あるのみ
脳は、慢性的なエネルギー不足に悩んでいる、というような記述を最近『ソーシャルブレインズ入門』で読みました。本書では、対人関係におけるコスト切り下げを企図する、という文脈でしたが、他のことでも同様でしょう。
要するに、すごく保守的な傾向を持ちたがるというわけです。それまで現実だったことは、その後も現実であり続けて欲しい。そうすれば、既知の方法で対応できるからです。
面白いのは、「既知の方法」がぜんぜんメリットをもたらさないものでも、それに拘泥しかねないところでしょう。先送りし続けることが、それほど嬉しいことだとは思えませんが、あまりに長いこと「解決されない問題」に直面し続けていると、「解放はどれも実行不可能」と判定することもあるようです。
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