心理ハック
心理ハック 少しでも制約を減らす

GTDなどのタスクマネージメントでは「いつ」「どこで」「何を」するかを明確にする。
一方で「クラウド」を使った仕事術では、「いつ」「どこで」という制約からどんどん自由になることを目指すというのは、どこか矛盾していないかとセミナーでつぶやいていただいたので、これへの返礼かたがた。
少しでも制約を減らす
制約を減らすということは、たとえば、Dropbox上に上限を意識せずに済むくらい、存在するすべてのファイルをアップしていくことや、Gmailなどを使って、可能な限り多くのプラットフォームから、「時と場所を選ばず」メールにアクセすることなどを言います。
iPhoneもそうですが、iPodは最初、「いつでもどこでも自分の音楽に」浸っていられるようにという目的で、設計されたものでした。
こうして「制約」が一つ一つ取り払われていくと、いよいよ残るのは、きわめて本質的な制約だけになるはずです。
一方、GTDなどで「いつ」「どこで」「何を」という点を明確することを目指すのは、当然です。私たちは、本質的な制約があれば、その範囲内でしか行動できないのです。難しくない話です。夜9時に閉まるスーパーにしかないコロッケを買いに行くためには、夜9時になる前に、そのスーパーに行かなければならないのです。
その制約が非常に多かったクラウド以前の時代には、「いつ」「どこで」「何を」という制約をはっきりさせておき、その範囲内でできることを、きびきびとこなしていく必要がありました。クラウド時代であってもその事情は変わりませんが、「その範囲内」が劇的に広くなったのです。
だからといって、クラウド上に地域限定のコロッケが置いてあるわけではないのです。今、ネットでそれを買うことができたとしても、iPhoneからコロッケを取り出すことができるようになるのは、ずっとずっと先のことでしょう。
効用 主体性が得られる
色々な制約が劇的に取り払われれば、残る制約は、「地域限定コロッケ」のような、希少の「モノ」や、「仕事をやる気持ち」などの心理的な制約、および「睡眠の必要性」などの肉体的制約です。
それでもGTDで主張されていた「注意を集める」という方法が有効なことにかわりはありません。「やる気があって」「睡くなくて」「移動中に」やることはなにがいいですか? これらもまた「制約」です。こういうものに即座に答えられてこそ、よいシステムというものです。
逆に言えば、「やる気があまりなくて」「睡くて」「残業中に」でもできそうなこととは、何でしょう? こうした条件のほうがもしかすると、さらによく管理すべきタスクになるかもしれません。
心理ハック 「悩める自分」へ向けて書く

あちこちに連載を書いたり、本を出していますと、「佐々木さんはなぜ、文章を書き続けられるのですか?」と尋ねられます。この質問は、本当によくいただきます。
文章の善し悪しや、内容に納得できるかどうかはともかく、「書き続けられる」ということ自体が感心に値する、と言われるのは、飛び上がって喜ぶほど嬉しい話ではありません。とはいえ、質問に答えようとしてみると、逆に質問を返したくなるのは、よくあることです。
「ではなぜ、あなたは文章を書きたいとそんなに思っているのに、文章を書けなくなるのでしょうか?」
この逆質問に対しても、色々な答えをいただきます。
「ブログを書くのであれば、炎上が怖い」
「ネタに詰まる」
「他人に有益な情報とは何かが、わからなくなる」
「時間がない」
「悩める自分」へ向けて書く
いずれももっともです。つまり、私もまったく同様です。ただ、こういうことで悩むことは「想定の範囲内」ですから、最初から対策を考えてあります。
私の対策とは、「詰まったら、自分に向かって情報発信する」という方針を思い出すことです。少し詳しく言うと、自分とまったく同じ人が、自分の知っていることを知らないばかりに、ひどく困っていると想定して、自分の文章を発信するのです。
効用 あまり悩まずに文章が書ける
この方針によって、炎上を恐れる必要はそれほどなくなりますし、ネタに詰まるということもあまりなくなります。「他人に有益な情報」よりも、「過去の自分に有益な情報」であり、時間がなくても「自分を助ける」気にはなるものです。
「過去の自分に情報を送っても、意味がない」というのであれば、「自分にそっくりな人」へ向けて送るのはどうでしょう? そんな人間がいるわけがない? 私は自分をそこまでユニークな存在だと思っていないので、そんな人もいるに違いないと、むしろ考えてしまうのです。
心理ハック 「気持ち」を文章に変えてみる

ひどく、ドライなハックのようですが、実はごくありきたりな心理ハックです。「論理療法」や「認知療法」と呼ばれている心理療法にある考え方で、その応用例もいくつかあります。
「気持ち」を文章に変えてみる
目の前のスクリーンに向かってでもいいですし、手元のメモにでもいいので、「ネガティブな気持ち」になって苦しくなったら、その「気持ち」を「文章」に書き落としてみましょう。
「気持ち」を文章にするのは難しい、小説家でもないし、そんなことできっこない、と言わずに、不完全でよいからやってみることです。もともと、あますところなく自分の気持ちを文章に表すなど無理なことですが、不完全でよければできるはずです。
やってみるとわかることですが、「気持ち」というのは、文章に落として見ると、非常に「しょうもない」ものだとわかります。例えば「仕事をしたくないキモチ」を文章にしてみましょう。説得力もなく、論理的でもなく、言い訳にもなっていない。そんなものではありませんか?
効用 「キモチ」を過度に大切にしないようになれる
多くの人は自分の気持ちを、それはそれは大事にしています。それはそれで大切なことではありますが、そのためにかえって自分自身を苦しめていることも、少なくありません。
「気持ち」を大切にするあまり、ある仕事はいつまでも先送りになったり、凹むとその原因になった事件のことを反芻したりします。思い切って気持ちを文章にしてみましょう。どう見てもたいしたことには思えないでしょう。だから忘れたり、無視したりすることもできるわけです。
「気持ち」はそんなふうに扱っていいものではない、と言われるかもしれませんが、もしかするとそうでもないことに気づきたくないばかりに、文章に直そうとしないのかもしれません。
心理ハック 精神力の安定供給を目指す

今日の報道ステーションの特集で、「自然エネルギーの安定供給」という問題が、とりあげられていました。誰もがすぐに考えるとおり、風力や太陽光発電は、色々な意味で素晴らしいのですが、天候に左右されます。一方で、現状の電力会社から常時供給されるエネルギーは、色々と無駄が多くなります。
いささか強引なたとえになりますが、私たちに常時供給されているリソースと言えば時間でしょう。非常に無駄に使いますが、生きている限り安定供給されます。一方、あたかも自然エネルギーのように、ひどく不安定なのが精神力。モチベーションでもいいわけですが、なんにせよ安定的に供給されません。
電気であれば、不完全ながらも「蓄電」という形でためておくことができます。精神力もそのように、ためておくことはできないかというと、できるのではないかと思っています。
やる気を無駄に使わない
こう言うと変に思われるかもしれませんが、脳のエネルギー消費は、明らかに節約できると思っています。節約できるということは、無駄遣いもできるわけです。
例えば目を使うことは、かなりのエネルギーを要します。個人的にものを書いたり、ものを読んだりしなければならない仕事ですから、ためになってもテレビは見ないようにしています。単純に、光に目をさらすとそれだけエネルギーを使ってしまうからです。少なくともそういう気がします。
それから、学生時代のように絶え間なく活字を読むということも、やめるようにしています。どうでもいいものは、極力「読まない」。読字はほぼ確実に、脳を疲れさせます。単純にものを見るというのとは違って、相当の努力を要するからです。
効用 仕事への持続力が高まる
残念ながら「精神力」というものは、電池のようにはいきません。ためたからといって、いきなりびゅーんとはならないのです。やる気節約の効果は、持久力という形でしか発揮されないように思われます。
しかし私は、このテーマを考え抜くことで、長い時間、疲れにくくなりました。人より瞬発的なエネルギーが出せませんが、何年も本を出し続けていられるところを見ると、それなりの効用はあると考えています。
心理ハック Doingメモを用意する

Doingメモというのは、Doingリストをつけるためのメモのことです。すぐ嫌気がさしそうなタスクに取りかかるときには、必ず用意しましょう。
Doingメモを用意する
Doingメモに特別なものは必要ありません。Macのスティッキーズのようなもので、十分です。
書き付けることは、とりあえず二種類あります。
・取りかかり始めたとたん、気になり始めて焦りをまねくこと
・取りかかりの前後に、やりたくなくなる理由
効用 取りかかった後の集中力を保つ
なにかを始めたとたんに焦りが生じるというのは、理不尽な話です。本当は、始める前のほうが焦っていなければいけないはずだからです。
それでも、何かに手をつけると焦り始めるのは、始めたことが刺激になって、いろいろなことを思い出すからでしょう。始めてから「いろいろなこと」を思い出してみても、しようがありません。とりあえずそれらは、どこかに書き付けておいて、後ほどGTDのシステムに組み込みましょう。
そのためにも、書き付ける場所が必要です。それがDoingメモというわけです。
もうひとつ、始めたとたんに腰が痛くなるかもしれません。これは、一種のセルフハンディキャッピングかもしれません。このような「苦痛」にいちいちつきあい続けていたら、いかなる仕事も前に進みませんから、これらの苦痛も記録しておいて、「後でケアしてあげる」ことにしてみましょう。
こうするだけで、苦痛が軽減されることもあります。たいていの「タスク中の苦痛」はタスク終了とともに消失してしまうものですが。








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