ライフハック心理学

心理ハック

モチベーションに頼る危険 Clip to Evernote

ずっと「やる気」に関する考察を続けてきた感覚を持っているのですが、調べれば調べるほど「やる気で作業を進める」ということには無理があるのだと思うようになりました。このエントリはシリーズになるかもしれません。

コンテクストは先送りになりやすい


私は「コンテクスト」(@)というのは、

・複数のプロジェクトにまたがったタスクが入り乱れているリスト

と、認識しています。この定義だけでも、本来それはそれぞれのプロジェクトに返してあげた方がいい、と思いますが、現実にはそうもいきません。

例えば大きなタスクが受信トレイに入ってきてしまいます。物書きであれば「ゲラ」がメールでやってくるのは普通です。もちろんゲラは例えば「クラウド時代のタスク管理の技術」というプロジェクトのタスクです。

「クラウド時代のタスク管理の技術」 → □ゲラ

という形であるのが自然ですが、メールからはいってくるとなると

受信トレイチェック → □ゲラ

と見えてしまっているのが現実です。このように「受信トレイ」は「@受信トレイ」であり、コンテクストですが、コンテクストリストを処理する(ゼロにする)という作業は、気が乗らないものなのです。数が増えてくるとなおさらです。

それでもコンテクストの処理に急にモチベーションが高まるタイミングというものがあります。それは人によって違うのですが、要するに「一念発起した」ときです。

動物は「危機が迫る」と急にやる気になる


人によって違う理由は、いつ「危機だ!」と感じるかが人によって違うからです。もちろん家が燃えているとなれば誰だって「危機だ!」と感じるでしょうが、受信トレイの件数が「あふれている」程度では人によっては「危機だ!」などと思いません。

しかし1000件近く受信トレイに未処理メールがたまっていて、そのせいで大事な人からのメールを「見落とした!」というようなとき、「これはいかん!」と思っていきなりメールの整理をはじめる。

危機とはすなわち適応できない環境であり、いわゆる「太古の昔」からこの傾向はずっと続いています。やる気に満ちあふれている人を見たとき、私達が何とはなしに不安な気持ちになるのは、当人が「適応できない環境に取り囲まれている!」と感じているからなのです。

適応できない環境に接しているとき私達は何らかの意味で動機づけられます。

・環境を改造する
・環境から逃げる
・環境と闘う
・環境に適応しようと我慢する

ある意味でやる気が出ないというのはいいことなのです。それは環境に適応しているということだからです。受信トレイが500件でも、それに適応しているということはあり得ます。

こう考えてみると「コンテクストに対してやる気になる」というのはあまりいい状態ではないと思われます。それはだいたいかなり不快な状態であるか、神経過敏(強迫症めいている)なのです。「トイレの掃除」はプロジェクトというよりはコンテクストですが、「トイレの掃除をしなければ!」と強く動機づけられているということは、大変不快な状態でしょう。

あるいは一日中トイレの掃除をしていないと気が済まないという場合。こちらは心理的なアンバランスを感じさせます。もちろん「やる気」は高いはずですが。

コンテクストの「ケア」にはしたがって、やる気がなくても手がけられる、改善できるというのがよいと思います。「家事」はだいたいコンテクストの連続ですから「モチベーションが高まらないと家事をする気がしない」人は、プロになるか、自炊も掃除もたまにしかやらなくなるでしょう。

以上は全て、プロジェクトの話ではありません。プロジェクトに手がけるには多少とも「やる気」が要りようになります。やはりこの話はエントリを改めます。