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書籍紹介『心理学を変えた40の研究』 Clip to Evernote

心理学を変えた40の研究―心理学の“常識”はこうして生まれた
心理学を変えた40の研究―心理学の“常識”はこうして生まれた ロジャー・R. ホック Roger R. Hock 梶川 達也

ピアソンエデュケーション 2007-05-16
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おすすめ平均 star
star心理学の入門書にしては
star心はいかにして実験されたか

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本書の大きな長所は二つ。

  1. 心理学実験を中心に構成しているところ
  2. 主要な心理実験を多くカバーしているところ

この二点だ。

なぜこの2点がいいかというと、第1の、心理実験中心だから、少なくとも実験結果については嘘がない。嘘がないというのは言い過ぎでも、推測や解釈を積み重ねている本に比べれば、とにかく実験結果を踏まえて読むことができるというのは、安心できる。本書はこの意味で、親切だ。

第2に、とはいえ、現在の心理学は実験と論文が山積みされているので、その中に分け入っていくのは現実的ではない。主要な実験が40もカバーされていれば、それだけでも助かるというものだ。人間心理に興味があれば、もちろん面白い。

40というとかなり多いようだが(あるいはかなり少ないと見る向きもあるだろう。そこはバックグラウンドが何かでかなり違う)、いずれも全く「初耳だ」という人は、たぶん少ないと思う。詳しくは知らずとも「パブロフの犬」や「ハトに青信号をつつかせた実験」は、聞いたことがあると思う。また、「罰として人に電気ショッックを与えさせる実験」も、知っている人がたくさんいるはずだ。

一般書籍としては、こうした実験について、かなり細かく紹介されているし、まずは実験結果を、次いで解釈を、それから実験への批判にページを割くという構成は、わかりやすいし、期待に応えている。さらに、その後の展開と参考文献まで用意されている。有用で、勉強になるし、心強い。

最後までお読みになった読者で、心理学が専攻でない人は、一つの大きな物足りなさを感じるかもしれない。本書には、たくさんの興味深い心理実験が羅列されている。羅列されているだけ、といった印象すら受けるはずだ。人間は、これこれの条件下ではこう振る舞う。ストレスを感じるのは、こんなときだ。ネズミの学習過程はこうだが、これは人間にも十分当てはまりそうだ。などなど。さて…。

このように「人間心理アラカルト」が並んでいるというのに、そのアラカルトから導きだされるべき「人間心理の本質」とは何なのか。この本には書かれていない。なぜ?

つまりそれが心理学の現状というものなのだ。もちろんフロイトのように、がんばって「人間の心のモデル」を図解までしてくれた人もいる。けれども、そのアイデアの面白さと努力はそれとして、あれをあのまま信じている人は、今となっては少数派だ。

が、「フロイトの言うことはうさんくさい」という程度なら、心理学部に入学して1ヶ月の学生でも指摘できるけれど、フロイトモデルに替わる「心のモデル」を大胆にも提示して、それで博士号までとれたという人となると、「フロイトモデル」を信じている人と同じくらい少数派だ。

「40の研究」はこうした背景もあって、貴重だし面白い。まずは「事実」を収集しないといけない状況下では、頭に入れておくべき「事実」がまとまっているというのは、繰り返しになってしまうが必要不可欠なのだ。