心理ハック
274 会話の意図
コミュニケーションというものは、ふつう意図をもってやるものです。その意図が「隠された意図」であろうと「あからさまな意図」であろうと、発話が意味だけを通じさせようとすることは実は少なく、多くの場合何らかの意味で「操作的」になるのが発話です。
「意図がある」ということは当然「意図を無視される」とか「意図が怒りを呼ぶ」とか「意図を誤解される」ということも少なくないわけです。それだけに発話する側は「慎重を期す」わけですが、そうすれば物事がうまくいくとは限りません。
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友人や同僚との“距離感”を考える語尾表現
ビジネスコミュニケーションというと、とかく堅く考えがちだが親密度によっては、崩した表現のほうが伝わる場合もある。親密度よって異なる語尾表現を考えてみよう。http://www.itmedia.co.jp/bizid/articles/0707/27/news108.html
ここで解説されているのは「!」や「(笑)」の使い方や適切な状況などですが、「堅く考えがちだが親密度によっては、崩した表現の方が伝わる場合もある」というよりも、「堅い表現」は意図が伝わりにくいはずです。それでも「堅い表現」を使わなければならないからこそ、「友人や同僚との“距離感”を考える」必要が出てくるのでしょう。
いうまでもなく「堅い」表現は発話の意図を隠す意味があります。
たとえば鉄道会社は本当はトイレの便器の上方に
「もう一歩前に出ろ!誰が便器の掃除をするとおもってんだ!?」
と書いてしまっては大変角が立ちます。そこで鉄道会社としては、「いつもきれいにご利用くださいまして、まことにありがとうございます」のような、非常に「堅く分かりにくい」表現を使うしかありません。
発話の意図はいうまでもなく「相手を操作する」ことにつながります。だから直裁的に表現しては、「動け」といっていることになって角が立つわけです。そこで「意図」を隠す表現を使うことになるのですが、そうすると当然「意図」が伝わりにくいことにもなります。
余談ですが、英語の「仮定法」はこの「意図を隠す」という目的のために存在している「特別な丁寧語」らしく思えます。上記の例でいえば、「お客様がいつもきれいにご利用くださるので、私どもは大変幸せです」(現在の事実に反する)という書き方になるわけです。
これが英語の教科書の訳出だと「もしお客様がもっときれいに使ってくれれば、私たちはもっと幸せになれるのに…」というふうに訳されている(英文にはそうは書かれていない)ので、何でこんな変な表現法が英語にはあるんだろう…などと思ってしまうのですが。






