ライフハック心理学

心理ハック

258 作業の記録を取る目的 Clip to Evernote

先週の木曜日、シゴタノ!の大橋さんが講師を務めるセミナーに、ゲスト講師という形で出席したことは、すでに述べたとおりです。その懇談会で、何人かの方から質問を受けました。

毎日のように、時間を分刻みで管理して、ストレスじゃないですか?

言葉通りではありませんが、意味はこんな感じだったと思います。中には、

それで人生、楽しいですか?

といったニュアンスのご質問も、いただきました。言葉通りではありませんが。

このような疑問はもっともです。もっとも「分刻み」の時間管理など、してはいませんが(笑)。

作業記録は、別に大橋さんの発明品でもありませんが、シゴタノ!と言えば時間管理というイメージはあるでしょうし、時間管理と言えば、「時間の節約!」というイメージも、ついて回るかもしれません。

しかし、作業記録と実績をつける目的は、必ずしも時間の節約にはないのだと、最近私は感じるようになっています。むしろ、シゴタノ!で言われていることを、可能な限り忠実に実行していると、浮かび上がるのは次の三つだという気がします。

1 スルー・スタート
2 タイムスリップ
3 リサイクル

1は、私自身も昔から理想としてきたことで、人が何気なくテレビを見てしまうように、何気なく仕事を始めてしまうということです。テレビはおもしろいが、仕事はきつい。そういう人もいますが、いつもそうではないでしょう。テレビがいつもおもしろいわけではないでしょうが、でも、ほとんどいつも、何気なく見るはずです。こういう何気なさが、なぜもたらされるかをとらえ、それを仕事に応用しようというのが、シゴタノ!の趣旨らしく、私には読めるわけです。

この何気なく始めることを、私は勝手に「スルー・スタート」と呼んでいます。スルーする対象は自分の感情。押さえ込むのではなく、素通りします。

素通りするために必要になるのが、取りかかるときの障害を排除しておくなどの、環境整備です。これを私は今日(2007/06/25)、「ブレイン・アフォーダンス」と、勝手に名付けました。造語が多くてすみません。しかもこの言葉の深い意味は、後日に。簡単に言えば、マグカップの取っ手が手でつまみやすいように、「脳がつまみやすい」インターフェースは、仕事の負荷を激減させるという程度の意味です。

「スルー・スタート」してすぐ、テレビを見ていると、「タイムスリップ」してしまいます。つまり「時間と現在を忘れて」しまうのです。これはある意味で、仕事中の心理としては理想的でしょう。いつまでも「現在」に縛られることほど、苦痛を感じることもありません。いやな時間(渋滞など)は早く過ぎ去って欲しいと思うから、長く感じられるのであり、楽しい時間(恋人とのデートなど)はいつまでも続いて欲しいと思うから、すぐに過ぎてしまうのです。

仕事で「タイムスリップ」するためには、先行きの不安などは忘れ去らなければいけませんし、次に何をするかも、忘れていなければいけません。次にあれをして、これをして、それをして…と、未来の不安に心を奪われるのは、実は心が現在に縛り付けられているということです。

タイムスリップは、没頭してさえいれば、仕事中でも起こります。

そして、「スルー・スタート」と「タイムスリップ」を起こすためにこそ、「作業記録」をとったり、事細かに手順を記録する必要があるのだと、私は思います。そうしておかないと、仕事を始めるにあたって、使うべき材料や片付ける手順をいちいち記憶や書棚から捜索しなければならず、「スルー・スタート」できないのです。

しかも、記憶からいろいろな仕事の山を捜索してしまうと、それらの仕事について考えて、不安になったりします。「タイムスリップ」の妨げにもなるのです。

何気なくはじめて、いつの間にか没頭してしまう。それを実現するには、仕事へのアクセスが、非常に容易でなければなりません。非常に容易にタスクに入るには、前にやった手順や完成品を、再利用してみるのがもっともうまいやり方です。これがリサイクルというわけです。

そういうわけで、スルー・スタートからタイムスリップ。タイムスリップからリサイクル。リサイクルだから、スルー・スタートできるという、そうした流れをいろいろな仕事に応用できるのではないかと、私は思っているわけです。