心理ハック
113 難しいことはリラックスして
「難しい」課題に取り組むときには、もしどうしても取り組まねばならないのなら、どうすればいいか?
私自身、小学校高学年から中学校初年度の頃に、よくこんなことを思ったのですが、日本の教育において、「ロボット」の使い込みのための時間が、あまりにも割かれていなさすぎるようです。できるに決まっていることをやることが、人のプライドを満足させるのです。子どもが、ゲームの簡単な面をクリアして、得意になるのはそういうことです。
運転も、免許を取り立ての頃に、やたらとドライブに行きたがる人が多くいます。水泳も同じです。ピアノなどで、初心者の頃に、次々に新しい課題を用意されると、いやになるものです。
「ロボット」のない作業は、苦痛なものです。先生やコーチは、ロボットを駆使させるのが商売ですから、なるべく早い段階に、たくさんの「ロボット」を備えさせようとします。しかし、挫折するのはたいていここです。一通りの「ロボット」が備わる頃には、うまくなってきて、面白くなっていますから、むしろ止められなくなるものです。
現に学校でも塾でも、「最初」ほど厄介なのに、最初ほど厳しかったりします。そして、ひどい場合には、いつまで経っても「最初」のままです。できるようになったことはあまり繰り返さず、できないことばかりを新しい課題として、要求されるからです。
「できないこと」とはすなわち「ロボット」を持っていないこと。これに取り組まなければならない場合には、「ヤーキー・ドットソンの法則」によりますと、「とことんリラックスして」取り組むべきです。
図がないとわかりにくいのですが、先週お話ししましたとおり、物事をやるには適度な緊張感が必要です。リラックスしすぎるのも、緊張しすぎるのもダメ。ですが、難しい課題の「適度な緊張感」とは、普通の課題に比べて、ずっと低いレベルにシフトするのです。つまり、うんとリラックスして、それでちょうどいいのです。
これまで日本での習い事といえば、幼児向け以外には、平気でこの反対をやってきました。初心者にほど、妙に厳しかったのです。ビギナーというのは、それでなくても緊張しますから、(生まれて初めてのスキーや潜水のことを考えてみても)、そこでのコーチの唯一の役割は、相手の緊張をただひたすらに解くこと、といっても過言ではないほどです。
どうしてもできそうもないほど難しい課題に直面したら、まず私達にできることは、最適レベルの緊張感を保つこと、すなわち、全然緊張しないことです。難しい課題を目にして、緊張しないというのは、すでにそれだけで特殊な才のようですが、「ロボット」が備わっていないのに、前頭葉だけが興奮して焦ったところで、良い結果が生まれるはずはないのです。
逆に、簡単な課題には、緊張して取り組むことです。
以上は、難しい課題には緊張が生じやすく、易しい課題には緊張が生じにくいことからもわかります。あえて逆を意識しなければ、最適のエネルギーが得られないわけです。
あえて逆を意識できるのは、前頭葉前部です。すなわちここでも、ダイレクト・コントロールは自意識なのです。従って、自意識の仕事は、適切な量のエネルギーを供給することであり、「ロボット」のエネルギー環境を整えることが、自意識の仕事なのです。






