心理ハック
ビジネス書とマニュアル
例えばタスク管理本などで示されているのは、
そのタスク管理が完全に回っている、いわば完全体の姿なわけです。
プラモデルの完成した姿を見せられて、
「じゃあこれを作ろうか!」と言われているようなもので。
これはまったくそうなのだ。比較的悩みの種なのである。
実際、ここで紹介していただいている拙著にしても、あれほど大がかりなシステムを説明している以上、その組み立て方をもっと詳細に書いた方がいい。
しかしそれをやるとそれこそ「マニュアル」になってしまう。ページ数が膨らむ。今回の本はページ的にはあれで上限だった。それに「マニュアル」にするわけにはいかない。ビジネス書が書店に並んでいてそれが「マニュアル」だという例はたぶんない。
マニュアルでない分読者に不親切なことになるが、マニュアルは見た感じ少しも面白くはない。つまりやるなら拙著の他にマニュアルを作らなければならないのだ。(しかもそれは売れ行きがはなはだ悪くなることを覚悟しなければいけない)。
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先送り癖を全て解消できる「ファースト・タスク」
やる価値はたしかにある。あるいはやる必要はたしかにある。そういう仕事、あるいは語学学習などを、毎日のように先送りにし、何ヶ月、時には何年も放置したままになっているという人が少なくありません。このうんざりするような難問を確実に解決する方法をご紹介しましょう。「ファースト・タスク」というやり方です。
●朝イチでやるファストタスクってなに?
「ファースト・タスク」を提唱しているのは『マニャーナの法則』(ディスカヴァー)の著者マーク・フォースターです。想像したくもないクレームへの返信や、ずっと放置しているプログラミングの教科書など、「やった方がいいけれど手がつけられない」作業というものはたくさんあります。
マーク・フォースターはそれらチャレンジングな仕事が先に進まない理由として「やらないから」と簡単に述べます。
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絶対やる価値のある仕事は朝イチに!:日経ウーマンオンライン【自分が変わる!生活が変わる習慣心理学】
自制バイアス
自制バイアスという言葉は心理学でも一般的とは言えないが、現象はみんな知っている。禁煙は難しくないと思っている人が何度もタバコを吸ってしまうことを言う。
この研究はその「心理面」について特別な注意を払っていて、いわば、「禁煙は難しくないと思っている人ほど、禁煙に失敗する傾向が強い」ことを言おうとしている。「相関関係がある」と述べているのである。
記憶力の不十分さと自己分裂ということが、このテーマには必ず潜んでいると思うのだが、価値観(善悪?)についての非対称性が注目に値する。喫煙ー禁煙という関係においては、「禁煙」が「善」であることは自明のこととされている。なぜか?
わざわざ断らなくてもこういったテーマで書くとき、人は「禁煙したいと思ってしまう自分をどうしても裏切ってしまう「喫煙欲」に抗えない」という言い方をする。「喫煙しようと一貫して決意している自分の中に、時々だがタバコを吸うのを控えようとする困ったやつが現れる」という言い方はしない。
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モチベーションに頼る危険2
モチベーションに頼る危険の続きです。
前回は「コンテクスト」をやる気いっぱいでこなすということは、要するに@●●に対して不快感でいっぱいになったときである、というお話で終わりました。
@書棚を見ると気分が悪くなる
@RSSを見ると読み返す気もしなくなる
@お風呂場で身体がかゆくなる
以上のようになりますと、人のモチベーションに火がつくときが遠からずやって来ます。ただ、@●●は原則「ケア」であり「メンテナンス」であり、まず「成果を上げる」ものではないことには要注意です。「受信トレイをゼロにする」というのは、たとえ受信トレイに1万件(!)あったとしても、成果とは言えません。「元に戻った」だけなのです。
しかし普通「企画」は違います。あるいは「違うべき」です。というのも、「企画」というのはタスク全体の「成果」であるべきで、行為に意味を与えるものだからです。もちろんカビだらけのお風呂をピッカピカにすることに意味はあります。ただやはりそれは「元に戻った」のであり、新しい成果を上げていると言えるかどうか疑わしい点は留意しておきましょう。
ここまでで私が「メンテナンスを貶めている」と考えないでください。私はどちらかといえばメンテナンス好きな人間です。メンテナンスだけに生きていても個人的な不満はありません。手段の目的化という言葉は嫌いですし、目的的もしくは生産的という言葉には、偏見がありますが浅薄な雰囲気を想ってしまう口です。
ただ、ほとんどの場合、メンテナンスというのは「元に戻す」行為ではあります。@コンテクストには複数の「目的」が入り乱れていて、1つの大事な目的のためにはよけいなことをしている場合が多いのです。受信トレイをゼロにする過程では、どうでもいいメールを捨て、書籍原稿について検討し、友達に飲み会の日時を尋ねます。バラバラなのです。
このバラバラのことをするのに多大なエネルギー(と時間)を要するようだと、明らかにもっと重要な問題で行き詰まります。もっと大事な問題というのが「企画」なのです。
「企画をやる気」は自然に沸き上がるものではない
「企画」すなわち「何かを作り出す」ことは、難しいことです。難しいのは習慣になっていないうえに、生理的な欲求には頼れないからです。
食事をしてしばらく時間が経てば、ものを食べたくなります。起きてしばらくすれば眠くなります。この種の欲求にしたがって動くのに、ことさら「やる気」は要りません。
それにすでに述べたとおり、@コンテクストもいつかはやる気になれます。なぜなら環境が不快になるからです。
しかし「企画」というのは放っておくと、「企画作成時がもっともやる気に満ちていて、以後下がる一方」になります。ネット上には放置されているブログにあふれています。なぜなら企画というのは「行為を束ねて意味を作る」ものなので、時の流れに身を任せていても何もやる気になれません。ここがメンテナンスと違うのです。
企画に対してやる気になるには、企画の時だけにやる気を使うようにして、企画の時だけはやる気を出すようにすることです。それは想像以上に愉快ではない感情です。しかし、習慣になっていないことを毎日やろうというのですから苦痛ですし、空腹でもないのにものを食べるようなものなので快感ではないのです。
それでも企画達成時には、少なくとも「苦労して何かを元に戻した」以上の成果を自分のものだと実感できます。そのことの価値は、他の人にはなかなか分かってもらえないかもしれません。が、他の人に分からないようなことの価値を、自分だけが分かるというところに、私ならむしろ意義を感じます。
オデュッセウスの仕組み化
オデュッセウスの帰路の際、彼は歌を聞いて楽しみたいと思い、船員には蝋で耳栓をさせ、自身をマストに縛り付け決して解かないよう船員に命じた。
歌が聞こえると、オデュッセウスはセイレーンのもとへ行こうと暴れたが、船員はますます強く彼を縛った。
船が遠ざかり歌が聞こえなくなると、落ち着いたオデュッセウスは初めて船員に耳栓を外すよう命じた。
・・・現在でもある時期になるとセイレーンの歌声が聞こえ、船員がその声を聞いた船は沈没すると言われる。
脱線の誘惑に引きずり込まれないようにするには、記憶力と意志力を頼りにしてはいけない。
オデュッセウスの神話は有名だが、この話は私にとって教訓に満ちている。オデュッセウスほど意志力と賢明さを備えている人でも、誘惑には弱い。人魚の歌声を聞いて海にドボンと行ってしまう。
だからマストに我が身を縛り付ける。船員には耳栓をさせるという徹底ぶりなのだ。
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