心理ハック
449 集中的注意と前注意課程
「集中力を付ける方法が知りたい」とは、私のような仕事をしていると、きっとよく尋ねられることと思います。セミナー前などにも、何度かこうした質問をいただきました。
いかにも認知心理学が扱いそうでありながら、意外と認知心理学では、そのものずばりの答えが得られないものとして、「時間認知」があげられます。「時間」については(あるいは「言語」もそうかもしれませんが)、色々な話は出てくるものの、「結局どういう事?」に対する答えが、スッキリしていません。
「集中力」などもよく似ています。これが「注意」や「記憶」であれば、もっと色々なことが分かってきて、楽しいのですが、「集中」となると、薄手の心理学用語辞典では、まともに取り扱われてすらいないこともあります。
それでも、「集中的注意」という言葉がちゃんと出ては来ます。これは「前注意課程」という言葉と、ふつうは対の用語として解説されます。
「前注意課程」とは、認知心理学者としては有名な、ウルリック・ナイサーの指摘した心理現象です。よくコンピュータの画面に、変なカーソルや記号を示し、それを指摘するまでの時間を計る実験があるのですが、集中的な注意力を高めるには、その前段階として、一定の視野の範囲内での「無意識的な精査」が必要になってくるというわけです。
ぼんやりと自室を眺めているときには、特にこれといって何かを「見ている」という気持ちは持っていないものです。つまりこの段階では、部屋全体を「無意識的(自発的)」に調査していると言えます。
しかし、大事なものが目に飛び込んでくると、いきなり集中的に注意できる。この何が大事で、大事だから注意を向けるという事を可能にするのは、無意識的な注意課程が有効に働いてこそだ、というわけです。
いわゆる「木を見て森を見ず」の状態を長々と続けていると、視野を狭めても、集中力は発揮されない、と言ってもいいかもしれません。







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