ライフハック心理学

心理ハック

139 寝る効用

この生産性重視の時代にあって、「寝る」という行為はよほど非生産的に思われるせいか、人は80年間生きているとすれば、「実に25年もの間眠って過ごしている!」といった表現を目にします。次にはたいていこう続きます。「寝ることには、それほどの意義があるのだろうか?」。ここで言う「意義」とは、生物学者から見れば自然淘汰に対する意義であり、ビジネスマンに言わせれば生産性向上のための意義であり、布団屋さんからしてみれば枕を売るための意義です。

「寝る効用」について改めて考えてみる気になったのは、大橋さんのこの記事を読んだからなのですが、ごく常識にとらえれば、「寝る」のは「疲れをとるため」と考えられます。問題は、どうして「寝る」ことで疲れがとれるのか?という点です。

「起きている」という状態と、「寝ている」状態の、決定的な違いとは何でしょう? 心理学的に考えるなら、「睡眠中」には感覚からの信号が、遮断されているということです。完璧に遮断されているわけではありませんが、「覚醒時」とは比較にならないほど、情報は閉め出されています。

ということからしますと、外界からの情報を取り込むのが、「疲れ」のもとになっているようです。これはある程度、間違いなさそうです。

というのも、ものすごくうるさくて、ものすごくまぶしい空間では、人は眠りにつきにくいからです。これは自明です。仮にそうした空間で仮眠できたとしても、「なんだか疲れがとれない」という感想を漏らします。そのような空間では、睡眠中も外界からの信号を、なかなか閉め出し得ないからでしょう。

逆に、音もなく光もない空間では、よく眠ることができて疲れもとれるか? これはすべての人には当てはまらないようですが、一般的には、まあそうでしょう。

しかしここで、ちょっとした疑問が残ります。それなら、音がなく光もなく、気温もほどよい空間で「起きて」いても、寝たことと同じになるか?

これはまず、ならないでしょう。言うまでもないことだと思います。「起きて」いることと「寝て」いることとは、意識のありようが決定的に違います。ただたんに、外界からの刺激を処理しているか、していないかだけの違いではないのです。おそらくは無音・無光の空間でずっと「起きて」いるよりも、ものすごく騒がしくて、強い光のチラチラする空間で「寝た」ほうが、疲れはとれるでしょう。

このように考えていくと、「起きて」いる状態とは、いつでも外界からの刺激を処理できるように、準備がなされている状態と考えられます。刺激を処理することももちろんですが、刺激処理の準備状態にあり続けることが、「疲れる」のです。「起きている」ということは、一種の警戒状態であり、そこまで言わずとも、外部からの信号に対して用意を調えている状態なのです。

光や音といった刺激が、私たちの体内で電気信号へと変わる一方で、起きている時間には、外部からやってくる信号を、脳がたえず「迎え」に行っているわけです。おそらくはやはり、電気信号を出すことによってです。この迎えに行く信号を出し続ける状態から、信号を出さなくなる状態へと、脳が切り替わるときに、私たちは「眠りに落ちる」のでしょう。

私たちに眠りが必要だということの意味は、まとめるとこうなります。脳は、少なくとも私たちの脳は、外部からの感覚刺激を処理し続けていくことができない。あるいはその準備を整え続けていると、疲弊する。「寝る」ことは、その準備状態にある脳の箇所を、仕事から解放し、枯渇した何らかの神経伝達物質を補給してやることにある。

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138 カーナビが欲しい

欲しいというか、買おうと真剣に考えております。こうした際、ちょっと困ってしまうのが、どれを買うかということ。液晶テレビやパソコンもそうですが、値段が値段ですから、「失敗」したくはありません。

しかし、実のところ、「失敗したくない」のは高価だからではないのです。本当の「失敗したくない理由」は、私はカーナビを使うことで、今までよりずっと生活の質を向上させられる(と思いこんでいる)からなのです。だから、(私の選択としては)「間違ったカーナビ」を買ってしまうことで、「劇的に向上させられるはずの生活の質が、ちょっとだけの向上に終わった」という事態を恐れているのです。

現在、六割くらいの確率で、「カロッツェリア」というシリーズのどれかを買いそうな気配ですが、私の購入基準は以下の通りです。

1.地図データを、PCなどから、リビングで編集できること。カーナビ自体をリビングでいじれれば、なお良い
2.iPodもしくはCDから、容易に音楽を管理できること

1は、これまで父の車に付属してきたカーナビでこりている、という経験からきています。父の車に付属のカーナビは、取り外しがきかず、地図に追記した「地点登録」の使い勝手が、まるでファミコンで文書入力しているような回りくどさのため、野放図に増える一方なのです。レストランだろうと、友人宅だろうと、郵便局だろうと、本屋だろうと、すべてがみどりの旗印。「そこで何かを見たんだろうな・・・」ということ以外は、完全に推測に頼るほかありません。

2ですが、これも今ならできて当たり前、という気がします。iPodと直結させられなくてもいいけれど、CDを車に持ち込んで、それを居間に持ち帰るというのは、極力避けたいわけです。

カーナビというのは、私はすごいツールだと思っています。これは、紙の地図では事実上不可能なことをやってくれます。
たとえば、現在地点が自宅であり、行き先がディズニー・ランドだというのであれば、カーナビでやれそうなことは、たいてい紙の地図でもやれます。

・ルートを設定する
・所要時間を推定する
・所用料金を推定する

これらのことは、紙の地図でもやれます。しかし、以下のことは紙の地図ではきわめて困難、あるいは不可能です。

・走行中、リアルタイムで現在地点を認識する
・その現在地点から選択可能な、周辺状況を把握する
・走行中、どの道が渋滞しているかを、渋滞に捕まる前に知る

これらがなぜ大切かというと、「逸脱する自由」が非常に高まるからです。実際、家から目的地に真っ直ぐドライブするだけなら、カーナビだろうと、紙の地図だろうと、大きな違いはありませんが、たとえば、「上野」という非常にありがちな名前の交差点を通過している真っ最中に、友達が急に「トイレに行きたい」と言い出したときには、紙の地図というのは、まったく使い勝手がよくありません。

というのも、紙の地図では、「現在どこを走っているか、把握しやすくはない」し、「周辺情報についての絞り込みが不可能」だからです。仮に「トイレがどこにあるか」を掲載している地図であっても、「10分以内に行けるトイレだけを表示する」ということはできません。

「トイレ」は逸脱そのものです。「友達がいつどこでトイレに行きたくなるか」を、事前に決定するということは、できません。カーナビのすごいところは、事前に決定できない部分を、網羅してくれるところです。決して、「ルート検索、目的地設定」が、カーナビの一番のポイントではないと思います。それなら、(手間はかかるものの)紙の地図でも、ましてインターネットの地図を使えば、できることです。

心理学的には、カーナビを「記憶の補助線」としてとらえることができます。「現在位置」(現在の意識)にせよ、すぐに利用できる「作動記憶」(地元周辺)にせよ、訪れたことのある「長期記憶」(思い出の場所)にせよ、人間の頭に存在するのは、タクシーの運転手でもない限り、ひどくいい加減な空間地図にすぎません。カーナビは、空間認知に限った話ですが、これをほぼ完璧な形で補います。

人間にはいろいろ弱いところがあるのですが、カーナビはその上手な補い方を教えてくれます。つまり、特定の次元(空間、時間、モチベーション、金銭など)にカテゴリを絞り込み、そのカテゴリに関する情報をリアルタイムで、正確に提供されれば、人間の能力はきわめて力強く補われる、ということです。

そこでですが、おすすめのカーナビを教えてください。

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137 朝時間.jp

朝時間.jp
http://www.asajikan.jp/

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見た感じ、どちらかといえば女性向けのサイトです。作りもしっかりしていて、デザインもきれいにまとまっていて、ドメインもきっちり取得されています。

要するに、朝に一言、「その日の目標」を入れて、それが守れたかどうかを翌日尋ねられるので、それを三段階評価する。継続すれば、自分の傾向を知ることができ、モチベーションの維持、向上に役立つ、という趣旨です。

私個人は、あまりこういったものが、実は好きとは言えません。しかし、やってみると意外な効果を期待できるかもしれない、という、一種の自分自身に対する猜疑心があります。

実は私は、似たようなことを百式さんのcheck*padで実践しています。そこでは、特定の項目だけをリストしておくと、毎朝9時頃にメールしてくれるのです。
http://www.checkpad.jp

私がその項目に書いておくことは「今日の心得」です。内容は、タイトルとは全く別に、全然教訓的なものではなくて、その日を大過なく過ごすための「心覚え」と、毎日覚えておきたいことです。何かを見返さずとも、覚えてしまいたいことです。

たとえば、今日届いた「今日の心得」はこうです。

- 紙copiのスクラップのToDoを毎日の最初に見る
- 紙copiの箱は必ず全部毎日見る
- 毎日少しずつ英文を読む
- R2の資料集め
- USBバックアップ
- コントロールできないこともある!
- まず言うのではなく、まず怒るのはおかしい
- ムック・ジェフ・池谷・脳科学
- デート強化
- クレディセゾンのETC
- Slimtimerを使う
- 参考文献は要チェック(日本語を中心に)
- 買うものはとことん買う。そのために、金銭整理

この中には、教訓とも覚え書きとも、タスクリストともつかないものが、入り乱れています。しかしこれだけは、私は毎朝見たいわけです。

朝時間.jpのほうは、こういう使い方には向かないでしょうが、代わりに「達成度」を尋ねてくれます。その意味では、何か特定のテーマに絞り込んだ方が、面白いかもしれません。

質問される、というのはなかなか効果的なのです。それは「答える」ためのアフォーダンスです。

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136 作動記憶を整理してくれる環境

先日、百式さんが面白い時計を紹介していました。
「オンラインガジェット (AmbientClock.com)」です。

http://www.ambientclock.com/

個人的には、こうしたツールがもっとどんどん出てきて欲しいと思います。オンライン・カレンダーを表示するカレンダーとか、そのカレンダーの写真はFlickerからスライド・ショーにするとか。

こうしたことを、何度か述べてきていますが、こういうツールやグッズは、私たちの身の回りに決定的に欠けているモノだと思うのです。

私たちは、やらなければならないことや、覚えておかなければならないことを、入力するツールとして紙を持っています。入力し、参照するツールとして、PDAやPCを持っています。検索するツールとしても、PCを持っています。

しかし、何もしなくても、必要な情報を教えてくれるツールは、貧弱です。時計、カレンダー、そして目覚まし時計というのがせいぜいでしょう。「家訓」を壁に掛けておく家もあるでしょうが、「家訓」は万人向けすぎます。もっと、自分自身が忘れてはならない用事を、黙っていても教えてくれるツールが、欲しいとことろです。

工夫すれば、PDAやケータイでやれないことはないのですが、カレンダーのように「大きい」画面でそれを知らせてくれるのがいいのです。共有するためというよりも、参照を容易にするためです。

大きい、ということは、見やすい、のです。
何も、プライバシーに関わるような情報を、そこにさらすことはありません。ニュースや天気や今日の日付や只今の時刻だけではなくて、私たち自身が、毎日知っていたい情報というものは、あるでしょう。それらは、ニュースや天気や現在時刻よりも、知る甲斐のある情報です。

そうした情報が、顔を洗ったときに、ワッと目に入ってくると、本来考えなければならないことが、注意スポットの中央にせり上がります。そこは、作動記憶などのスペースですが、しょっちゅう、心配事やら争いのネタだの、余計な情報に占有されやすいスペースでもあります。そこに、「今日やることは最低これだけ」という情報が割って入るだけで、アタマが清掃されるでしょう。そういう感じを抱くことができる、と思います。

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