心理ハック
124 やる気のためにその5 タスクは意味のある書き方にする
大橋悦夫さんのブログ、「シゴタノ!」に次のようなハックがあります。
その方法の1つが、タスクの名前を実態に合わせて付けなおすこと。さらに、「やる気を維持するコツ」のエッセンスも応用して、先送りを繰り返さないようにするコツを以下のようにまとめてみました。
1.実態に合わせた名前にする
2.定期的に名前の妥当性をチェックする
3.自分のやる気を盛り上げるような要素を盛り込む
http://cyblog.jp/modules/weblog/weblog-tb.php/121
この方法が紹介されているエントリ自体、本日私が紹介する内容とほぼ完全にかぶっています。この方法は、一見他愛のないやり方に見えるかもしれませんが、やってみると意外に強力です。
その理由は、2つあります。
第1に、そもそも名前をきちんと考えていないようなタスクが、「常連」になりやすいということです。タスクリストに書き入れるとき、何も考えずに「片付けてしまいたい」という気分に後押しされて入ってきた、項目だからです。
たとえば私が長い間タスクリストに放置していて、ようやく先ほど片付いた項目があったのですが、それは
「プリンタ」
という項目でした。こういう、書き込む際に時間を全然かけていない項目というのは、そもそもいつそれをやるのか、どのようにそれをやるのか、全然意識されていないから、先送りされやすいのです。
先ほどやったこととは、父のプリンタが壊れたため、新しく購入してドライバなどを設定することだったのですが、それをただ「プリンタ」などと書いておいても、いっこうに具体的な手順がイメージできず、面倒な印象だけが思い浮かび、取りかかることができなくなっていた、というありがちなパターンに陥っていたのです。これを、「カカクコムで父に合うプリンタを探す」という項目をまず書いておけば、おそらくもっと早く取りかかることができたでしょう。
先送りされがちな項目の名前を変えるべき、第2の理由は、注意を引くためです。人間の脳は、注意力をむやみに使うと疲れたり、活動が滞ったりするので、いつも見慣れた光景を見るときには、注意を引かずに素通りしようとし、いつもやり慣れた作業をするときにも、注意を引かずに素通りしようとします。このカラクリを私は、脳の中の「ロボット」と位置づけたわけです。
「ロボット」は便利ではありますが、無差別に活動範囲を広げてしまうのが欠点です。やり終わらない項目には、ヘップバーンのきわどい写真に目を奪われる15歳の少年のように、強烈な注意を払い続ければいいのですが、毎日目にするたびに、逆になっていくのです。やがては、見たんだか見なかったんだか、分からなくなってしまいます。
そこで、「タスクリストの常連さん」の、名前を変えてしまいます。人間の脳は、毎日見慣れているはずの光景が変わると、急に注意力を増大させてくれるというカラクリも持っています。これを私は「ロボット」の予想を裏切る、と位置づけました。
つい先日、私は新居の掛け時計の位置が不便きわまりなかったので、掛け替えたのですが、急いでいるときほど、元の位置を振り返ってしまいます。「ロボット」がまだそこにあると予測しているからです。そして、そこにないことに気がついてハッとします。「ロボット」が予想を裏切られると、そこで注意力が上昇するわけです。
この心理効果を、タスクリストにも応用するというわけです。これは実際にやってみると、なかなか強力な方法なので、きっと驚かれることと思います。
123 やる気のためにその4 大きなタスクは具体的に詳述する
大きすぎるタスク、難しすぎる仕事を、小さく分割するというのは、しばしば指摘される非常に重要なハックです。これをことさらに心がけていけば、仕事のことで極度に困ることは、おそらくかなり減るはずです。(もちろん、どうやっても毎度極度に困るような仕事をなさっているとすれば、その限りではありません)。
要するに「ちょっとずつ」やるということですが、野口悠紀雄先生が『「超」手帳法』の中でおもしろい「命題」を述べられています。
それは、たとえば英語をマスターしよう、ためになるから・・・というような「重要で締め切りがはっきりしないタスク」はそうそう実行に移されない、という命題です。
「英語をマスターする」という仕事は、いつになればできるのか、わかりません。そして、今日、明日始めなければ、致命的な事態に陥る、ということもありません。すなわち、死ぬまで締め切りはありません。
一方で、決して容易なことではありません。むしろ、大変すぎるから、なかなかやる気にならないのです。先送りにする理由は様々ですが、「英語」の場合にはおそらく、大変そうだからでしょう。
つまり、野口先生の指摘する命題はこうなります。「重要で、締め切りのない仕事は、永遠に先延ばしの対象になりつづける」。
このような挑戦に着手するには、「重要」と「締め切りがない」の両方を、ひっくり返さなければなりません。つまり、「そう難しくない」単位まで切り落としてから、「締め切り」を設定するのです。
タスクを分割する単位というのは、締め切りが設定できる最小単位です。そのきわめて具体的な手順について、大橋悦夫さんの「シゴタノ!」で、細かく説明されています。
<タスク分割のコツ>
分割した小タスクごとに完了基準を明確に決めておく。
http://cyblog.jp/modules/weblog/details.php?blog_id=177
122 やる気のためにその3 現実的なゴールを設定する
今日のテーマ:
「非現実的なゴール」とはそもそも何であるか?
今回は、話を「やる気」に絞って考えますが、「タスク管理」のためのTo-Doリストには、あまり入れるべきでない項目というものがあります。それは、「やりたいこと」や「長期目標」です。不可抗力で入ってしまうという場合は仕方ないですし、絶対に「長期目標」もTo-Doで管理するんだ!という方も、それでOKです。
しかしタスクリストは、できることなら「出入りの激しい」ツールであるべきです。入っては消え、消しては書き込む、というのが理想です。いつまでも同じ顔がのさばっていたり、リストが増える一方のタスクリストというのは、機能不全の一歩手前というべきでしょう。
「非現実的ゴール」とは、それがそもそもタスクでない可能性が高いのです。それは、「夢」であったり、「長期目標」であったりします。それらは、タスクリストに入るべきアイテムでは、ないのです。もしそうしたものが「タスクリストの常連さん」となっていたら、消してしまってメモに移しましょう。
「タスクリスト」を与しやすくするには、項目の数を減らすことです。そして、項目の出入りを激しくすること。そうすることで、そのタスクリストはつねに「旬」を保ち続けることができます。そうして初めて、タスクリストというものを使う習慣がつくわけです。
習慣の問題はまた難しいのですが、タスクリストを見るたびにいやな思いをするということは、タスクリストが「罰」になっているということです。罰から遠ざかりたいのは、ネズミも人間も一緒。それでは、決してタスクリストを見る習慣は根付かないでしょう。
121 やる気のためにその2 決意表明する
今日のテーマ:
To-Doリストにやるべきことを書き並べたはいいが、書いてあるタスクをどうしてもやる気にならない。やる気になる方法は?
| 「超」手帳法 | |
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野口 悠紀雄
講談社 2006-10-03 おすすめ平均 |
みなさんこんにちは。
結局、やりたくないことについて言えば、リストに書いてあろうが締め切りが迫っていようが、やり出すのは難しく、やり出さなければやり終わりません。当たり前すぎて、書くだけ無意味なことですが、これが一番難しい問題かもしれません。
つい最近刊行された、野口悠紀雄氏の『「超」手帳法』(講談社)では、「やると決めたことを、みんなに吹聴する」というライフハックスを紹介しています。日本人は「恥をかく」ことに対する恐れが強いので、やらずに恥をかくというペナルティは効果がある、という指摘です。
ちなみに、「決意表明する」はアメリカ人の提案ですから、この手の心理的効果は、アメリカにもきちんとあるようです。
ただし、この手だけに頼ることはできません。あらゆるタスクについて、吹聴して回ってみても、やったかやらないかが他の人にはわかりにくいというタスクもあります。
たとえば私がなかなか処理時間の取れない、「音楽ファイルの名前のつけ直し」。iPod内の音楽ファイルですが、名前がいくつも文字化けしていて、何とかしたいのですが、何ともなっていません。しかし、こんなことを他人に吹聴して、しかも手がつけられずにいて、そのことを指摘されても、それほど「恥」とは思いそうにありません。
音楽ファイル名変更作業には適用できていませんが、私が使うもう一つの「決意表明」があります。なかなか手のつけられないタスクリストのチェックボックスに思い切って「×」を書き入れてしまうというものです。まだ手をつけてもいないうちから。
この心理効果は、これで終わらせられないと、タスクリスト全体をスポイルしてしまうような気がしてくるからです。タスクリストを重宝がっているなら、それなり有効な方法だと思います。つまり、
もうこの作業はやってしまったのだ!!!
という声をタスクリストから響かせることによって、そちらの現実に私の作業の方をあわせてしまうというわけです。
考えようによってはこの方法は、レオン・フェスティンガーの「認知的不協和」の応用例かもしれません。タスクリストを消してしまったという事実と、そのタスクに手もつけていないという事実は、矛盾します。人間はそうした認知矛盾を嫌いますから、その矛盾を解消しにかかる。すなわち、タスクを完了させるということで。
120やる気のためにその1 全て書き出す
みなさんこんばんは。前回の「やる気とグズを再整理」の続き。まずは1番から。
1.やらなければならないことをすべて書き出す
この方法は、すでにいろいろなところで紹介されていますが、「懸案を書き出すことで、頭の中を空にする」というのは、ちょっとした比喩です。いうまでもなく、懸案を書き出したからといって、頭の中が空になりはしませんし、なってしまっては困ります。
心理学的には、その場で記憶しきれないこと(短期記憶の限界量を超えていること)を書き出すことで、懸案事項を整理しやすくなる、という意味に取れます。そうだとすれば、すっきりするのは実は「アタマ」ではなくて「キモチ」です。
もちろん、脳には感情を司るところも、記憶も司るところも、知性を司るところもあって、そういう意味では「キモチに関係するアタマがすっきりする」と言ってもいいのですが。
もちろん何もそこにこだわることはありません。「アタマがすっきり」でもかまいません。ポイントはすっきりするのが何かではなく、なぜすっきりするかです。すっきりする理由は、懸案事項に対して、とりあえず手が打てるからです。
「手を打つ」。つまり、書き出された懸案事項について、
1,やらないことにすること
2,真っ先に処理すること
3,徐々に処理すること
4,後で処理すること
5,いつかやりたいこと
などに分類できるし、しかも、似たような懸案はまとめることもできます。こうした、取捨選択、カテゴリ分類、優先順位をつけることなどを、「全部書き出す」ことで可能にするわけです。頭の中で、「短期記憶」に頼ってこれをやると、どうしても漏れが出たり、後から急に思い出したりして、堂々巡りに陥りがちです。そうなるといつまでも、「計画を立てる」の部分で足踏みが続き、「すっきりしない」というわけです。


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