心理ハック
451 何をもって「上位」とするか?

前回(450 集中する主体)、次のように書いたところ、「何をもって上位と位置づけるのか?」という疑問をいただきました。「注意」というとこの問題が発生してしまうので、あまり深入りしないようにしていたのですが、徐々に深みにはまりつつあります。
「450 集中する主体」より
ここで一歩踏み込みます。そのような「注意力を保持する集中力」を、意識的な(メタな)自我がコントロールしていると考えると、この上位の自我が働くことができるように、脳のエネルギーを貯えておく必要があります。
下図をご覧下さい。なにやら電子部品の回路図みたいに見えますが、これは大脳の「配線図」です。
http://vis.berkeley.edu/courses/cs294-10-fa07/wiki/index.php/A1-ArielRokem
この図においては、原則としては、上へ行くほど「上位」ということになります。なぜ「上位」かというと、情報が統合されていくからです。V1とかV2とかV3という記号だけに着目すると、確かに上へ行くほど数字が大きくなっているのがわかるでしょう。
VはヴィジュアルのV。視覚野を意味しています。視覚野1から視覚野5まで昇っていくプロセスにおいて、視覚情報は徐々に統合されていきます。「どこに」「何が」「どんな色で」「どんな形の」といった視覚に関する個別の情報が、上位に上がるにつれて統合されていくことで、私たちは物体を「今見ているように」眺めることができるようになります。
ただ、この図だと一見したところ、最上位にHC(HippoCampus=海馬)が来ていますが、これが「司令塔」というわけでもありません。少なからぬ脳科学者が、脳の「司令塔」として、前頭葉の役割を多としています。
このことは、以下のように分類してみると少しわかりよくなります。
http://vis.berkeley.edu/courses/cs294-10-fa07/wiki/index.php/A1-ArielRokem
薄緑色の部分が「前頭葉」。ブロードマン46野と呼ばれるような部位があるところです。たとえばこの部位は、「注意力を極めて高く必要とするような課題」を解くときには、活発になるという実験例があります。無意識ではできないような課題です。
視覚情報に限ってみても、注意にはトップダウンプロセスと、ボトムアッププロセスがある。たとえば私は今自分の部屋の中で、目の前のマスコットに注意を集中することができます。これはトップダウンプロセスです。意識的に注意をコントロールしたからです。このプロセスにおいては、前頭前野付近のシナプスが何らかの形で活性化され、それによって視覚情報の統合について、何らかの「操作」が加わったのでしょう。
実際、私はマスコットの「色情報」に特別な注意を払うこともできれば、その「形」に特別な情報を払うこともできます。情報は統合された形で入っては来ますが、その部分的な構成要素に注意を向けることもできる(つまりその部分的な担当シナプスの活性状態を操作もできる)わけです。
この反対にボトムアッププロセスでは、外的な物体からの刺激が、注意を促してきます。部屋にハチが入ってくれば、ことさらトップダウンでそれに注意を向けようとしなくても、自然とその視覚情報へ注意が集中します。そのプロセスは初めはボトムアップであっても、すぐにトップダウンに切り替わるでしょう。










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