ライフハック心理学

心理ハック

242 心理ハック 覚えたければ安心しない Clip to Evernote

今週の日曜日、「スピード3倍仕事術×年収10倍アップ勉強法」というセミナーに、パネリストとして参加して参りました。

そのお話は金曜日にするとしまして、その中で、『スピードハックス』(大橋悦夫さんと私の共著書)を「記憶できない」のだが、「うまく記憶する方法はないか?」という質問を戴きました。

『スピードハックス』の内容を、仕事に即活かしたいので、覚えておきたいと思われるのは、著者として光栄ですが、仕事中に参照しても差し支えない類の本だと思いますし、「憶えておく」必要はないのではないか、というのが一般的な返答となるでしょうか。

ですがそこをどうしても憶えておこうということであれば、本を折らない、線を引かない、付箋を貼らない、できれば読んですぐ友人などに売ってしまう、といったハックスが考えられます。

要するに、忘れても後から思い出せるという安心感を脳に与えないことです。脳はそう安心すると、忘れてしまうからです。これをツァイガルニク効果といいます。

ツァイガルニクは、人間が何か欲求を満たそうとして行動すると、それが満たされるまで緊張感が続くことをまず、指摘しました。もちろんこれを指摘したのは、何もツァイガルニクだけではないですし、常識的な話です。

人間、腹が減って何かが食べたいと思ったら、食欲が満たされるまでは緊張感を憶え続けます。途中で忘れてしまったら、死んでしまいます。

しかしここにはすでに、非常に重要な概念があります。おそらく記憶力というものは、欲求不満のようなものから、進化してきたに違いないでしょう。生理的快楽を求める心は、生理的快楽が満たされるまで、生理的不快感が持続するのです。それは原始的な記憶と考えられます。

そして、ツァイガルニクは、目標が達成されれば緊張(生理的不快感)が解消されるならば、目標が達成されないままの方が、目標をよく覚えておけるに違いないと考え、それをそのまま課題についても一般化しました。完了していない行動は、完了した行動よりも、記憶によく残り、記憶の再生成績がよいのではないかと、仮定したのです。

この仮定は正しく、ツァイガルニク効果として定式化されました。たとえば読み終わった本のことより、未読の本のことの方が気にかかっているものですし、お終いまで見られなかったドラマなども、内容をよく覚えています。

ですので、『スピードハックス』に限らず、どうしても忘れたくない本があれば、読了せず、読了目前で未読のまま残しておくという手もあります。欲求不満は残りますが、緊張感による記憶力増強は期待できるでしょう。

参考
ツァイガルニク効果
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%84%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%82%AC%E3%83%AB%E3%83%8B%E3%82%AF%E5%8A%B9%E6%9E%9C

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