心理ハック
上のような「頼み事」ほど「無視される」ものもないでしょう。頼んだ方は「無視された」と思うせいか、妙に腹を立てるのですが、頼まれた方は、まったく悪気もなく「綺麗サッパリ忘れていた」だけなのです。
上の頼み事の中の、大きな問題の一つは「あとで」です。これで、頼まれた方は、「あとで」とリハーサルします。リハーサルは、普通は忘却を防ぐためのものですが、「あとでジョンに餌をやる」という約束を「覚えた」として、問題は、いつ「思い出す」かです。
リハーサルは、「覚える」のに役に立っても、思い出すには「きっかけ」が必要なのです。そのきっかけは「後で」やって来ることになるわけですが、ということはつまり、永遠にやっては来ない、とも言えるわけです。
というわけですから、せめて、
「3時に、ジョンに餌をやっておいてね」
くらいには、具体的にするべきでしょう。これでもまだまだ、頼まれた人が「綺麗サッパリ忘れていた」となり得ますが。
というのも、問題は「3時」というきっかけです。3時になったらケータイが鳴って、「ジョンに餌をやりなさい」と神様が電話してくれればいいのですが、マンガ本でも読んでいる内に、3時を過ぎていったらもうそれまでです。時間は、思い出すきっかけとしては、はなはだ弱いものです。
というわけで、未来の一時期に特定の行為に及ぶためには、時間ではなく出来事・空間によって思い出されるべきなのです。3時になったら、いつも行っている場所があれば、いちばんいいのです。例えば、おやつを物色するために、冷蔵庫の前に行くとか。そこに、でっかい張り紙がしてあって「ジョンにエサ!」とマジックで書いてあれば、できるでしょう。
以前「百式(http://www.100shiki.com/)」さんで、面白いブログ記事を見つけました。
「場所リマインダ」。つまり、特定の場所に、ある時刻訪れたら、ケータイ電話によって、そこでやるべき事を思い出させてくれる、という近未来風ツールです。残念ながら、ニューヨークでないと、使えないツールなのですが。
人は時間よりも、空間をきっかけとして、何かを思い出すのが得意です。むろん、時空間の双方が使えればいちばんいいのですが、何時には必ずどこにいるとは、自分でも特定できない人が多いでしょう。だからこそ「場所リマインダ」は面白い試みです。「場所」に関係して「何かが起こる」(ケータイが鳴る)と、それは「事件」と感じられるはずです。
今のところ、私達にできそうなことは、何時間後にケータイをブルブルさせる、といった程度です。しかし、これでもきっかけにはなるでしょう。「あとで」を心の中でリハーサルするだけ、というのが、一番「ど忘れ」を誘発します。なんの事件も起こらないのですから。







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